編み機とヴィンテージスウェット
暖かい空気が流れ始めましたねー。
Sai Nenにとっては初めての春。
この年になっても四季を新鮮に受け止められる場所があるのは幸せです。
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今日は春物立上げ商品から「スウェット」にフォーカスを当ててご紹介。
BGMはこちらをどうぞ。
Sai Nen Vintage
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ショート丈×黒スウェット×ジップアップの珍品ヴィンテージ。
第二次世界大戦中にアメリカ軍によって考案され、その後郵便局や警察などの制服にも採用された
アイクジャケットが元ネタではないでしょうか。
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真ん中のアイク将軍が着てるのがアイクジャケット。
そんなこちらは1950-60年代頃のアメリカ古着。
現在ではほぼ使われていない旧式の編み機による希少なスウェットです。
現行の生地に比べもっちりと柔らかく、当時の空気をそのまま含んでいるような古い手触りも楽しんでいただけたら。
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旧式の編み機、現行の編み機
先ほどの説明で記載した「旧式の編み機」ですが
1960年代まで使われていた「吊り編み機」と呼ばれる編み機を指しています。
糸の重さを利用しゆっくりと編み下げていくなど
糸にテンションを加えず丁寧に編まれた生地は
ふっくらとした質感かつ、高い耐久性を備えます。
~60年代のスウェットが持つ生地表面のザラ感や柔らかさ、
ヘタることなく奥深く進んでいく経年変化は吊り編みの特徴とも言えます。
![60s ユーロ ハーフジップスウェット](https://tani6sainen.com/wp-content/uploads/2022/03/IMG_20220314_153913-01-1024x768.jpeg)
この年代のスウェットって柔らかさに厚みがあるんですよね。
ガッシリしていて柔らかい。
相反する言葉に聞こえるかもしれませんが
触れたら分かっていただけるかと思います。
![60's ヴィンテージ スウェットパーカー](https://tani6sainen.com/wp-content/uploads/2022/03/IMG_20220314_154122-01-1024x768.jpeg)
そんな吊り編み機の弱点は生産効率の悪さ。
ゆっくり編むからこそ上記の特性が生まれているのですが
資本主義はのんびり屋さんを嫌います。
1960年代末期、吊り編み機の生産効率を大きく上回る編み機が誕生し
吊り編み機は姿を消していきました。
1970年代以降のスウェットは「シンカー編み機」が主流となります。
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最初期は吊り編み機と変わらない生産効率だったと言われていますが
糸を引っ張りながら高速で編みあげるシンカー編み機は
結果として20倍以上のスピードで編み上げる事を可能にしました。
その分糸に大きなストレスがかかるため
柔らかく仕上がる吊り編み機の生地と比べると
シンカー編み機の生地は伸縮性、耐久性に劣ります。
![70's sears ジップアップパーカー](https://tani6sainen.com/wp-content/uploads/2022/03/IMG_20220314_154318-01-1024x768.jpeg)
ほんなら吊り編みの方が絶対いいがや、ってなるかもしれませんが
シンカー編み機により低コスト大量生産が可能になった事で
メジャーからインディペンデントな作家まで多様な人たちが
創作活動を表現するキャンバスとしての機能をスウェットに見出したと思いますし
そういった意味ではカルチャーの発展に寄与した、素晴らしい技術進化です。
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それに、着る人やスタイルによっては
シンカー編み機のゴワっとした固い生地感の方が
クールに見える事も多々あるんですよね。
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吊り編みがスローで心地良いdubwiseなら、シンカーはハヤくてヨレてるjungleみたいな。
後半戦のBGMはこちらをどうぞ。
Sai Nen Vintage
![90s リバースウィーブ](https://tani6sainen.com/wp-content/uploads/2022/03/20220312204101-01.jpeg)
アメリカ古着のスウェットの王道といえば
間違いなくChampionのリバースウィーブではないでしょうか。
その最大の特徴は両脇の切り替えで、新品でもよくサンプリングされていますし
一度は目にしたことがあるかと思います。
今回ご用意したのは90年代当時のリバースウィーブの紛い物。
見つけたとき、めちゃくちゃアガりました。
![](https://tani6sainen.com/wp-content/uploads/2022/03/IMG_20220312_183314-01-1024x1024.jpeg)
ただ単に両脇を切り替えしただけの
なんちゃってリバースウィーブだったら全然アガらないんですが
生地がめちゃくちゃいいんですよ、これ。
同年代のリバースウィーブではなく
70年代の単色初期タグChampionにかなり近い手触り。
しっとりと柔らかい吊り編みとは真逆の
ガサガサしてて、固くて、乾いた生地。
そしてだらしないルーズシルエット。
シンカー編み機、混紡スウェットの理想形です。
![](https://tani6sainen.com/wp-content/uploads/2022/03/IMG_20220312_183256-01-1024x1024.jpeg)
このグラフィックで刺繍ってのも
意外と本家では見付からなさそうな希少なディテール。
大体プリントかブランドロゴ刺繍ですもんね。
リバースウィーブは昨今凄まじい勢いで高騰している古着の1つであり
その質の高さも理解していますが、広く知れ渡った価値よりも
このくらい捻くれたやつの方がやっぱり好きです。
ってのを再確認できた古着でした。
その他普通にいい感じのやつとか
![90's アメリカ製 スウェット](https://tani6sainen.com/wp-content/uploads/2022/03/IMG_20220314_154835-01-1024x768.jpeg)
90年代のUSスウェットに手刷りした物なんかもご用意してます。
![90's アメリカ製 スウェット](https://tani6sainen.com/wp-content/uploads/2022/03/IMG_20220314_155201-01-1024x768.jpeg)
生地、サイズ、グラフィック。
良いラインナップを揃えられました。
ぜひお試しくださいませ。
お付き合いいただきありがとうございます。
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